推しに告白(嘘)されまして。
「それ、どのくらい期間が空いたらいいの?1週間?半月?一ヶ月?」
「いや、詳しい日取りまでは…」
「んー。そっか…」
私の答えに千晴が視線を落とす。
それから何か考える素振りを見せると、無表情からふわりと笑った。
「じゃあ、俺、先輩が俺と付き合いたい、てなるまでずっと待つ。だから絶対、未来で俺と付き合って?わかった?」
微笑む千晴に、またドキンッと胸が高鳴った。
何度も何度も意図せず動いてしまう心臓に、だんだん呆れさえしてくるが、不思議と嫌な気分ではない。
「いや、こんなちゃんと応えられない最低な私なんて待たなくていいよ…?千晴なら私よりもずっといい人を見つけられるだろうし…」
「嫌。俺には先輩だけだから。先輩しか俺は好きになれない」
まっすぐと私を射抜く焦がれるような瞳に、胸がギュッと縮む。
私に何度否定されても変わらず愛を伝える千晴に、どうしても未来を夢見てしまう。
未来でも千晴が変わらず私を好きでいてくれて、一緒にいられる、私にだけ都合のいいそんな未来を。
私はもう千晴を否定し、突き放すことができなかった。
「…わかったよ。でも今は同じ気持ちってだけで、その先が保証されているわけでは…」
「それでもいいよ。同じだって知れただけで、俺は嬉しいから。絶対最後に先輩の横で笑うのは俺だから」
困ったように眉を下げた私に、千晴は明るく笑った。
その明るい笑顔に、私の心臓はぎゅうと鷲掴みにされた。
ーーー好き。
今はただこの想いを私は大事に大事に胸の奥底で抱きしめた。