推しに告白(嘘)されまして。
「悠里先輩!ご卒業おめでとうございます!」
そこに先ほどのバスケ部の後輩が悠里くんに花束を渡しにやって来ていた。
「悠里!俺たちは卒業してもお前の味方だー!やるぞ!鉄子と恋愛成就大作戦!」
それから明るいバスケ部員の声が聞こえた。
その声に私は思わず懐かしさを感じた。
私たちの関係は二年生の夏休み明けのあの日、バスケ部の誰かが『鉄子に玉砕大作戦!』と叫んだことによって始まった。
嘘から始まった私たちの恋人関係。
最初は互いに付き合うという意味さえもよくわかっていなかったが、それでも少しずつ縮まった私たちの距離。
最後には嘘から本当になった、私たち。
あの眩しくも苦かった日々が今でも鮮明に蘇る。
「ふふ」
あの日に戻ったようで、私は千晴に手を引かれながらも、思わず笑みを溢した。
何も知らずに、恋をしていた過去の私に。
さようならを。