推しに告白(嘘)されまして。
放課後、私に会いにいつもここに来ていた千晴。
ここで千晴の反省文の監督を何度もしたこと、私の邪魔をする千晴を叱りつけたこと、他愛のない会話をしたことなど、いろいろな千晴とのことが走馬灯のように頭に流れる。
いつから千晴を好きになっていたのだろう。
気づいたのは一年前だったが、きっともっと前から私は千晴に惹かれていた。
「先輩、もう卒業しちゃうね」
「うん」
「明日からもう会えないね」
「…うん」
千晴がどこか寂しげに私を見る。
千晴の言葉に、瞳に、私にも寂しさが押し寄せた。
ここに私は明日はいない。
ここに来ればいつでも会えた人たちともう明日には会えなくなる。雪乃にも、悠里くんにも。
ーーーーそれから千晴にも。
それが寂しくて寂しくて、まだ来ていない明日に喪失感を感じた。
「…俺、明日も明後日も、この先もずっと、先輩に会いたい。ずっと一緒がいい」
千晴が瞳を伏せ、長いまつ毛を震えさせる。
「ねぇ、先輩。俺、待ったよ。だからもういいでしょ、先輩?」
そしてまた視線を上げて、私をまっすぐ見据えた。
無表情だが、恋焦がれるような熱を宿した千晴の瞳が、私を射抜いて、離さない。
千晴の熱に、私の体温は一気に上昇した。
やっぱり、好きだ。
もうきっと私はこの想いを胸の内に抱きしめるだけではいられない。
私も好きだと伝えたい。