推しに告白(嘘)されまして。





「…」



車内とは思えない立派な空間に固まってしまう。
私たちが座る椅子はソファのようにふわふわで、目の前には長いテーブルまであり、その上には飲み物やちょっとした軽食まで置いてあった。
下手すれば私の部屋の半分くらいはありそうな空間だ。
ここがまさか車内だというのか。
信じられない。



「な、何でリムジン…」



あまりにも衝撃すぎて、私から何とか絞り出せた言葉はたったこれだけで。
私の言葉を聞き、千晴は、


「遠いから車のほうがいいと思って」


と、当然のように淡々と答えた。

…違う。違うのだ。
車に乗って移動することに説明を求めているのではなく、この金持ちしか乗れないリムジンに乗っているこの現状に説明を求めているのだ。
ただの高校生が当然のように使う移動手段ではないのだ、リムジンは。



「こ、このリムジンとのご関係は…」

「え、関係?うちのリムジンだけど」

「…へぇ」



私の質問に不思議そうに答える千晴に私は表情を引きつらせた。

メルヘンランドのVIPチケットをどこかから貰い、リムジンを所有するコイツは一体何者なんだ?
まさかただの高校生ではない?





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