推しに告白(嘘)されまして。




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買い物を済ませ、バケハを被り、サングラスを付けたらいよいよメルヘンランド攻略スタートだ。
VIPチケットの特典で、どのアトラクションも待ち時間ゼロで遊べるというものがあったので、私たちは早速一番人気の待ち時間200分超えの屋内アトラクションへ行った。

たくさんの人が200分待ちの列へと並ぶ中、すいすいと別ルートに案内され、進む私たち。
そして本当に待ち時間ほぼゼロで屋内アトラクションに乗れた。

とんでもなく楽しい。

それから私たちはさらにメルヘンランドを攻めた。
ジェットコースターに4Dライド。シアタータイプのものや屋内アトラクション、屋外アトラクションなど。
とにかくたくさんのアトラクションを待ち時間ゼロでどんどん体験していった。

いろいろなアトラクションを体験した私たちの目に次に留まったのは、廃れたお屋敷が舞台のお化け屋敷だった。

楽しげな雰囲気の広がるここメルヘンランド内では、どこか異質で、静かな雰囲気の古めかしいお屋敷。
遠い昔に流行り病が原因で亡くなってしまった人たちの幽霊が今もあのお屋敷で彷徨い続け、生者には自分たちと同じような苦しみを望み、死へと誘う、というコンセプトのものらしい。



「なかなか迫力あるね」

「…そ、そうだね」



特に何とも思っていなさそうな千晴の横で、私は表情をこわばらせた。

実は私はお化け屋敷が苦手だった。
暗がりから急に誰かから脅かされるという行為がどうしても無理なのだ。

先ほどから目につくアトラクション全てを制覇してきた私たちだったが、ここにきて、私から先ほどまでの勢いがなくなった。



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