推しに告白(嘘)されまして。
ここでこんなふうに油断していたことがよくなかった。
目の前に突然、音もなくお化け役の白い服を着た男性が現れる。
「〜っ!!!!!」
その男性に私は声にならない悲鳴をあげた。
そしてそのままバランスを崩し、後ろに転けそうになった。
「先輩、大丈夫?」
だが、それは私の右腕を抱いていた千晴に支えられたことによって、阻止された。
千晴が青ざめている私の様子を窺う。
「先輩も怖いならこうしよ」
それから千晴は私の右手を自身の右手で掴み、左手を私の腰に回して、私を抱き寄せてきた。
気がつけば先ほどよりも密着した状態が完成していた。
「これなら俺も先輩を守れるよ」
「…う、うん」
暗い室内のはずなのに、微笑む千晴がどこか眩しく見える。
私を助けてくれる救世主に見える。
私は救世主である千晴に深く頷いた。
お願いします、私を守ってください。
私もできる限り千晴を守るから。