推しに告白(嘘)されまして。
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メルヘンランドに来てノンストップで遊び続け、ひったくり犯の対応までし、疲れた表情を浮かべていると、「休もう」と千晴にVIP専用ラウンジへと案内された。
VIP専用ラウンジはメルヘンランドのシンボルである、大きなお城の中にあり、そこはメルヘンランドの景色を一望できる場所でもあった。
私たちはそこの窓際にあるカウンター席に座り、景色を眺めながらもジュースを飲んだり、軽食を食べたりしていた。
VIPだからなのか知らないが、ここでのお会計はチケット代に入るらしい。
「あ、見て、千晴!あのアトラクションここからでも見えるよ!あれ感動したよねぇ」
ポテトを食べながら今まさに目に入った景色の中にある大きなアトラクションを私は指差す。
日が暮れはじめ、ライトアップされたパーク内はキラキラと輝いており、そこには昼間とはまた違った非現実が広がっていた。
「あの横にあるシアターも面白かったよね。まさか最後ああなるなんてね。ジェットコースターも気持ちよかったよねぇ」
「…」
「それからさ、あそこの場所なんだけど…」
「…」
夢中になって喋り続ける私に千晴は何故か応えない。
黙ったまま何も言わない千晴に違和感を感じた私は、何となく景色から隣に座る千晴へと視線を向ける。
すると千晴は、何故か愛おしげに私を見て、スマホをこちらに向けていた。
「…え、撮ってる?動画?」
「うん」
まさかと思い、質問した私に何でもないように千晴が頷く。
「…私なんて撮らずに、ここからの景色を撮った方がよくない?私にわざわざ撮るほどの価値なんてないしさ」
ここからの景色はVIPという選ばれた者しか見られない景色だ。
一般人である私たちがこの景色を見られるのもきっと今日が最初で最後なのだ。
だからこそ目に焼き付け、動画で残す必要がある。
今後一生見られないこの景色を記録しておく為に。
そんな価値のある景色よりも、いつでも会える学校の先輩の動画を撮っているとは。
一体何を考えているんだ、千晴は。
千晴の言動の意味がわからず、呆れ顔になっていると、千晴はそんな私に頬を緩めた。