推しに告白(嘘)されまして。




だから一刻も早く俺を好きになってもらわなければならない。
そうでなければ、この不快な状況がずっと続いてしまう。



「うわぁ…」



俺の隣にいた先輩がある場所を見て感嘆の声をあげる。
先輩の視線の先には、このパークのシンボル、大きな西洋式のお城があった。
先ほど先輩と共に軽食を食べた場所だ。

ライトアップされているそれは、昼間のものとはまた違うものに見えた。
一般的な感想を述べるなら、あれは綺麗なのだろう。
俺にはただ光っているな、という感想しかないが。

けれど、そんなただ光っているだけの建物でも、先輩越しに見れば、何故かとても輝いて見えた。
先輩と共に見る景色はどんなものでも美しいと思えた。



「ねぇ、先輩」

「ん?」



俺に呼ばれてこちらに振り向いた先輩は相変わらず可愛らしくて。
どうしたの?と目で聞いてくる先輩に心臓を鷲掴みにされる。



「一緒に写真撮ろ、先輩」

「写真?うん。いいよ。撮ろ」



俺の提案に先輩は当然のように快く頷いてくれた。
なので、俺は早速自分のスマホを出し、撮影の準備を始めた。

まずは内カメにし、そしてそのままスマホを縦に持つ。それから画面に先輩と一緒に入れるようにスマホを持つ右手を伸ばした。

先輩が俺の近くに寄る。
スマホの画面には光り輝くパークを背景に微笑む2人。
お揃いのバケハをかぶっており、先輩は胸元、俺は顔にこれまたお揃いのサングラスがある。
どこからどう見ても恋人にしか見えない2人だ。

俺はちょうどいいところでシャッターを押した。



「先輩どう?」



それから俺はすぐに写真を先輩に見せた。



「ん?うん。めっちゃいい写真じゃん。綺麗」



俺に見せられた写真を見て、先輩が嬉しそうに笑う。
愛らしいそんな先輩に俺はまた先輩への愛しさで胸がいっぱいになった。


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