推しに告白(嘘)されまして。
傍から見て俺とアイツ、どちらが先輩と恋人同士に見えるのか。
それは間違いなく、俺の方だろう。
先輩のスマホのロック画面になっているアイツとの写真よりも、ずっと今撮った写真の方が恋人らしい。
アイツよりも俺の方が先輩と恋人のような関係なのだと、周りに、そしてアイツにじわじわと思い知らせてやる。
その為にも、アイツにお土産を買う先輩を後押しした。
お土産を渡せば、自然と今日の話になるからだ。
今日、お前ではなく、俺と共に過ごした柚子先輩という存在をアイツも知ればいい。
そうして少しずつ、俺と先輩の仲をわからせていけば、アイツは先輩と別れるはずだ。
自分は相応しくない相手だった、と。
あとはアイツと別れて傷ついた先輩を俺が慰める…いや、そもそも俺を好きになれば、先輩が傷つくこともない。
やはり一刻も早く俺を好きにさせなければ。
「先輩、写真送るから、連絡先教えて」
「うん。ちょっと待ってよ…」
自然な流れで先輩の方へとスマホを向けると、先輩は頷いて、鞄に手を入れた。
こうやって、アイツのいない2人だけの時間をどんどん積み重ね、先輩の中に自然と俺を浸透させていく。
それから徐々に俺を好きにさせる。
周りにも抜かりなく手を回して、俺と先輩こそが結ばれるべきだという空気を作るのだ。
先輩が知らないうちに少しずつ囲ってやる。
だから同じになろう、柚子先輩。
「そっちが読み取る?」
QRコードを表示させたスマホをこちらに向けて、首を傾げる愛らしい存在に俺は瞳を細めた。