推しに告白(嘘)されまして。
5.テスト週間。勉強しましょう。3人で。
1.お願い
side柚子
沢村くんの名誉ある彼女(上辺だけ)になり、もう1ヶ月。10月に入り、暑さも和らいできた今日この頃。
私は今日も朝の委員会活動を終え、教室へと移動していた。
そしてその道中、下駄箱で、何と朝練後の私の推しと遭遇した。
「おはよう、沢村くん」
「あ、鉄崎さん。おはよう」
私に挨拶を返して、爽やかに笑う沢村くんは今日も眩しすぎる。
練習後で暑いだろうに、着崩すことなく、きちんと着ている制服。
汗を拭くために首にかけられているタオル。
少しだけ乱れているが、様になっている髪。
練習後にしか得られないかっこよさがそこには確かにあった。
推しが尊すぎる。
かっこよすぎる。
今日も沢村くんのかっこよさに密かに目を奪われていると、ふと、沢村くんの肩にかかった大きな黒リュックでゆらゆらと揺れているあるものに目がいった。
沢村くんのリュックでゆらゆらと揺れているのは、メルヘンランドのマスコットキャラクターであるメルヘン猫のぬいぐるみキーホルダーだ。
あのふわふわで可愛らしすぎるキーホルダーは以前、私が沢村くんにお土産としてあげたものだった。
ーーーーそれは遡ること、約2週間前のこと。
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放課後、たまたま時間が合い、沢村くんと一緒に帰っていた私は満を持して、鞄から可愛くラッピングされた袋を取り出した。
「沢村くん!これ!」
「…?」
私にずいっと袋を押し付けられて、沢村くんが不思議そうにそれを受け取る。
「どうしたの、これ?」
それから伺うように私を見た。
「…あ、あのね。この前、メルヘンランドに行ったから、そのお土産で…」
迷惑ではないだろうか、と不安に思いながらも、おずおずと沢村くんを見る。
すると、そんな私の不安なんてよそに、沢村くんはまじまじと私が渡した袋を見つめて、とても嬉しそうに目を細めた。