推しに告白(嘘)されまして。




「…華守くんと?」



先ほどまでと同じ笑顔なのだが、どこか違う気がする沢村くんの笑顔。
何かが違う気もするが、決定的に何が違うのかはわからない。
急に雰囲気が変わった気がする沢村くんを凝視していると、沢村くんは優しい笑顔で口を開いた。



「2人だけで行ったの?」

「…うん。2人で行ったよ。もらったVIPチケットが2枚しかなかったから…。もちろん、最初は断ったんだけど、千晴、友達が1人もいないから行ける人、私しかいなくて」

「…そっか」



沢村くんの様子を伺いながらも答えた私に、沢村くんが力なく笑う。
何で急に沢村くんから元気がなくなったのだろうか。



「…鉄崎さん」

「…う、うん?」

「俺ともまたメルヘンランド行こう?」

「っ!も、もちろん!」



突然元気をなくした沢村くんを心配していると、いつもの眩しい笑顔で沢村くんは、何と私をメルヘンランドへと誘ってくれた。
胸がいっぱいになった私は、笑顔ですぐにその誘いを受けた。

何と名誉なことなのだろうか。
また沢村くんとデートができるだなんて!

そこから私はメルヘンランドの何が楽しかったか、次沢村くんと行く時の為に、たくさん思いつく限り話した。
途中で千晴の名前が出ると、沢村くんの表情が一瞬だけ暗くなった気もしたが、おそらく気のせいだろう。



< 67 / 386 >

この作品をシェア

pagetop