推しに告白(嘘)されまして。
千晴から解放された私はそのまま自由になった体で、千晴の方へと振り向き、千晴を見据える。
「…それでいつ勉強教えればいいの?」
それから私は腕組みをし、千晴に真剣な表情でそう尋ねた。
予定を早く決めておくに越したことはない。
「テストまでの放課後全部」
「え?全部?」
「うん。全部」
「やる気満々じゃん」
「まあ、今回ヤバいし、先輩に手取り足取りいろいろと教えてもらいたいからね」
「…なるほどね」
千晴のまさかすぎるやる気のある答えに、少々意外で驚いたが、私は深く頷く。
やる気のある後輩の手助けならぜひやりたいところだ。
千晴は、我が鷹野高校の中でも圧倒的に真面目な生徒が多い進学科だ。
それなのに、全身校則違反だらけで、問題ばかり起こし、真面目のまの字もない問題児で。
そんな千晴が、必要に迫られてとはいえ、勉強に対してやる気を出してくれているのだ。
先輩としては応援したい。
テスト週間は今日から1週間だ。
つい先ほど、沢村くんと一緒に帰る約束をしかけたところだが、沢村くんと一緒に帰ることと、千晴に勉強を教えること、どちらが大事か。
正直、沢村くんは私の彼氏だという義務感で私といるだけで、別に私と帰れなくてもいいだろうし、困っている後輩がいるのなら助けるべきと言うだろう。
ならば私の選ぶ答えは一つだ。