推しに告白(嘘)されまして。
「わかった。テストまでの1週間、放課後全部私が千晴に勉強教えるよ」
「本当?」
「本当」
「やったぁ」
千晴に力強く笑顔で頷くと、そんな私に千晴は嬉しそう笑った。
きっと、沢村くんも納得の答えだろう。
「と、いうわけだから、沢村くん。今週は一緒に帰れなくなっちゃった。だからまた来週から…」
千晴との話の流れそのままに、私は今度は沢村くんの方へと視線を向ける。
すると、沢村くんは信じられないものでも見るような目で私を見ていた。
な、何で?
沢村くんの視線の意味が全くわからず、ここにいるもう1人の人物、千晴の方へと何となく視線を移せば、千晴は千晴で何故か勝ち誇ったような笑みで沢村くんのことを見ており、ますますわけがわからなくなる。
な、何で?
2人の間で状況が飲み込まず、おろおろしていると、やっと沢村くんが口を開いてくれた。
「…俺も勉強したいし、一緒にいい?」
「…う、うん!もちろん!」
伺うようにこちらを見る沢村くんに、私は戸惑いながらも、笑顔で了承する。
どうやら沢村くんも一緒に勉強がしたかったようだ。
しかし、なかなか言えるタイミングがなく、自分よりも先に、千晴が言ってしまい、さらには約束まで取り付けているところを見て、あのような複雑な表情を浮かべていたらしい。
千晴は沢村くんの提案に「まあ、俺には拒否権ないし」とどこか嫌そうにだが、沢村くんと一緒に勉強することを了承していた。
そこまで話したところで、キーンカーコンカーンコーン、と予鈴が鳴る。
なので、私たちは朝のホームルームに間に合わす為に、慌てて解散し、急いで教室へと向かったのだった。
ちなみに千晴だけは全く急いでいなかったので、途中まで私が腕を無理やり引き、強制的に急がせた。