推しに告白(嘘)されまして。
「けど、まだ危ういよね、アンタ」
「え?私?」
窓際からさっさと弁当へと視線を戻し、卵焼きを口に入れた雪乃に私は首を傾げる。
危うい?私が?
「千晴くん。あれ、どうすんの?」
「へ?千晴?」
考えてもよくわからないので、じっと雪乃の次の言葉を待っていると、雪乃から何故か千晴の名前が出てきて、私は眉間に深くシワを寄せた。
千晴が私の危うさに一体何の関係があるというのか。
全くわからない。
首を捻り続ける私に、雪乃が「本当、鈍いね」と呆れたように笑う。
それから意地の悪そうな笑みを浮かべて、ゆっくりと、言い聞かせるように口を開いた。
「ぱっと見仲のいい先輩後輩に見えるアンタたちだけど、明らかに千晴くんは柚子のこと好きじゃん。放置してると、知らぬ間にパクッと食われるわよ」
「…」
雪乃、まだそう思ってたんだ…。
雪乃からのまさかの答えに私から肩の力が抜けていく。
何か私が気づいていないような重要なことでも言われるのかと思ったが、千晴の私への恋心を指摘してくるとは。
千晴は確かに私へ好意を抱いているだろうが、あれはよく面倒を見てくれるちょっと口うるさい先輩へ向けてのものだ。
千晴にとってお母ちゃんorお姉ちゃんなのだ、私は。