推しに告白(嘘)されまして。
3.勉強会ですよ?
*****
放課後。
ホームルームが終わり、いつものように荷物をまとめていると、教室内がやけに騒がしいことに気がついた。
「なぁ、何でアイツがここにいるんだ?」
「だ、誰か、反感を買った命知らずな奴がいるとか?」
「怖いけどかっこいいよね…」
「話しかけたいけど、無理だよねぇ、普通に怖い」
騒つく生徒たちの声に、何となく誰が現れて教室内がこうなったのか察する。
こんなにも恐れられ、だが、かっこいい、と騒がれる特殊な生徒なんて、この学校には1人しかいない。
荷物をまとめ終え、全員の視線が集まる扉の方を見てみると、そこには予想通りの人物が、開いている扉の枠に体を預け、こちらをじっと見ていた。
その人物、千晴が出入り口を塞いでいるせいで、誰もその扉を使えず、仕方なくもう一つの扉からそそくさと出ていく生徒たちの姿を見て、ため息を漏らす。
全く、この教室にいる全員の帰る邪魔をするなんて。
「ちょっと、千晴…」
鞄を急いで持ち、呆れたように千晴の元へ行くと、そんな私を見て、千晴の表情は無表情から柔らかい笑顔へと変わった。