推しに告白(嘘)されまして。
「…とりあえず集中して勉強できる空き教室に移動するよ?いい?」
「うん」
未だにご機嫌な千晴に怪訝な視線を向けながらも、スマホを鞄から取り出す。
それから私は沢村くんに今決まったことや、千晴と合流していることなど、必要事項を伝える為に、スマホを触り出した。
私のスマホの画面が、沢村くんとのツーショットロック画面から、ロックを解除したことによって、千晴とのツーショットホーム画面へと変わる。
それをたまたま横から覗いていた千晴は満足げに笑った。
「やっぱいいね、そのホーム画面」
「…。変えても変えても千晴がこれに勝手にするんでしょ?もう面倒だからこのままにしてるだけだから」
迷惑そうに千晴を見れば、それでも千晴はどこか嬉しそうで。
自分さえ良ければそれでいい、という自分勝手な思考が丸わかりだ。
困っている私なんてお構いなしなのだ。コイツは。
千晴の言動にため息を漏らしながらも、千晴と他愛のない話を続け、目的の空き教室へと着く。
その教室には私たち以外、誰もおらず、集中して勉強するにはうってつけの場所だった。
教室に入った私と千晴は、適当な机を選び、とりあえずその机を囲うように座る。
そしてそのまま勉強会は始まった。
「で、どこを教えればいいの?」
机を挟んで向かい側に座り、数冊のテキストを出した千晴に、私は真剣な表情で早速質問する。
すると千晴は少し考えて、一冊のテキストを手に取ると、適当にパラパラとめくって、「ここ」と気怠げに開いたページにある問題を指差した。
千晴が適当に選び、指差した問題は数学の問題だ。