推しに告白(嘘)されまして。
「千晴が悪ふざけしてきたから怒っただけです!」
私は千晴が何か言うよりも早く、必死にそう沢村くんに主張した。
間違いではない。むしろ正しい。
詳しく言わなかっただけだ。
「そっか…。大丈夫、鉄崎さん?」
「…う、うん、大丈夫」
何とか平静を取り戻してきた私を、沢村くんが気遣うように見つめる。
優しくも柔らかい沢村くんの瞳は、私を労る気持ちでいっぱいだ。
私の推し、やっぱりかっこいいし、優しいし、最高なのでは?
見た目だけではなく、中身まで王子様のような人なのだ。沢村くんは。
バスケ部の王子様、と呼ばれていることも頷ける。
もういっそ、地球の王子様、でもいいと思う。
沢村くんに内心メロつきながらも、私はいつも通り、しっかりとした表情を作る。
そんな私の隣に沢村くんは座ると、「よろしくね、鉄崎さん」と優しく、そして爽やかに微笑んできた。
その微笑みにうっかり昇天しそうになったことは言うまでもない。
こうして3人での勉強会が始まったのであった。