推しに告白(嘘)されまして。
千晴の言動にうんうん頭を悩まされていると、千晴はふと、思い出したかのように口を開いた。
「そういえばこの前のメルヘンランド楽しかったよね。俺、初めて家族以外と行った、あそこ」
「そうなの?まぁ、楽しかったね。いろいろ特別な体験もできたし」
「うん。また、行こ。先輩」
「…私とばかりじゃ、飽きちゃうでしょ?千晴が本気を出せば友達なんてすぐにできるし、今度はその子たちと行きなよ」
「嫌。俺は先輩としか行きたくない」
最初は上機嫌だった千晴だが、私の答えを聞いて、その表情を曇らせる。
一体何が気に食わないのか。別に私以外とも行けばいいではないか。
千晴の態度に呆れながらも「はいはい」と適当に頷いていると、千晴は徐に制服からスマホを取り出し、触り始めた。
それから、スマホの画面を私に見せると、伺うように私に言った。
「これ先輩と行きたいんだけど」
「ん?アフタヌーンティー?」
千晴に見せられたスマホの画面にはアフタヌーンティーと書かれた文字と写真があった。
落ち着いているが、どこか高級そうな内装のカフェのテーブル。
そこには3段のスタンドがあり、そのスタンドの上にはスイーツや軽食が並べられている。
小さなサンドイッチ、スコーン、シャインマスカットのタルト。
マカロン、小さなパフェのようなものに、コーンスープまで。
この小さなスマホの画面の中には、見ているだけでよだれが出そうになるものが、たくさん並べられていた。
…正直、とてもとても行きたい。