推しに告白(嘘)されまして。




「…これ、すごいね。どこのやつ?」

「華守ホテル」

「華守って…。あの超高級ホテルの!?」

「うん」

「予算オーバーだわ!」



うずうずしながら千晴に質問したのはいいが、まさかの千晴から返ってきた答えに私は頭を抱える。

華守ホテルといえば、この辺どころか日本で知らない人がいないほど、超高級ホテルだ。
国内外の要人、セレブ、皇族まで、ありとあらゆる金持ちが集まるホテルのアフタヌーンティーなど、きっと目ん玉が飛び出る値段に決まっている。
ただの女子高生の私が気軽に行ける場所ではない。

ん?てか、華守?
千晴と同じ苗字だけど何か関係が?

…いや、華守の関係者がこんな普通の高校にいるわけがないか。



「お金くらい俺が払うよ?」

「いやいやそういう問題じゃないから」

「…じゃあ、ここじゃなければ、一緒にアフタヌーンティー行ってくれる?それかここが無料とか」

「…えー。んー。うん。行きたいです」



無表情のはずなのに、どこか物欲しそうに訴えかけてくる千晴につい頷いてしまう。
食べ物の誘惑には勝てない。

私の返事に嬉しそうにしている千晴から何となく視線を逸らして、沢村くんを見る。
すると、沢村くんはどこか面白くなさそうな顔でこちらの方を見ていた。

し、しまった!
私と千晴だけで盛り上がってしまった!
沢村くんをのけ者してしまうなんて!



「そ、そういえば!お出かけといえば、沢村くんとのお出かけもとても楽しかったよね!」



パンッと空気を変えるために手を叩き、私は努めて明るい声を出す。
変な話の振り方になってしまったが、そこを気にしていては話が進まない。


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