推しに告白(嘘)されまして。



*****



そして放課後。
風紀委員室へと向かう私の頭の中はお昼休みの雪乃のある一言でいっぱいになっていた。


『決戦は今日。必ず放課後に告白されるよ、アンタ』


不敵に笑っている雪乃の顔がもうずっと離れない。
雪乃が言うのだから絶対そうなのだ。
今日、私はついに推しから告白されてしまうのだ。
こんな少女漫画のような体験ができてしまうなんて、私は前世でどんな徳を積んだのか。

嬉しさのあまりスキップし始めたい気持ちをグッと抑えて、ゆっくりと歩いていると、ついにその時がやってきた。



「あの、鉄崎さん」



後ろから遠慮がちにとんでもないイケボが私を呼ぶ。
振り向かなくてもわかる。私を呼び止めたこの声は…



「今ちょっとだけいいかな?」



振り向くとどこか気まずそうにこちらを見ているとんでもないイケメンと目が合った。

爽やかな整った顔立ちにサラサラの黒髪。
紛れもなく私の推し、沢村くんだ。

きたーーーーーーー!!!!!

沢村くんの登場に私の中のリトル柚子が喜びのタップダンスを踊り始める。しかもタンバリン付きでシャンシャンと愉快な音付きだ。



「うん、いいよ」



告白だー!と嬉しさで叫び出しそうになったが、それを絶対に表には出さず、私は至って冷静に沢村くんに頷いた。




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