推しに告白(嘘)されまして。
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「お前、今日全然シュート入らなかったな」
部活終了後、部室にて。
俺の隣で着替えていたバスケ部員の1人、陽平がふとそんなことを言ってきた。
「…あー、まあ、うん。ちょっと考え事してて…」
陽平の指摘に歯切れの悪い返事をする。
そんな俺の様子に、その場にいた部員全員の注目が、密かに集まっている気がした。
「その考え事って何ぃ?」
まだ一切着替えず、椅子に座ってシューズを脱いでいた隆太が、興味津々といった様子でこちらに声をかける。
別に隠すことでもないので、俺は部活中に俺の調子を狂わせていた原因について話すことにした。
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「…て、ことがあって。鉄崎さん、華守のことは名前で呼ぶのに俺のことは名字でさ…。しかもホーム画面も華守とのツーショットだし」
「「…」」
話し出すと止まらず、俺は気がつけば、華守と鉄崎さんについて、気になって仕方なかったことを全部吐き出していた。
そしてそんな俺の話をいつの間にかその場にいた全員が真剣な表情で聞いており、何故か絶句していた。
「「…」」
それからしばらく謎の沈黙が続いた。
誰も俺の話に対して何も言わず、ただただ固まっている。
この何とも言えない空気に俺は首を傾げた。
俺は何か言ってはいけないことでも言ってしまったのだろうか?
何か言ってもらいたくて、みんなのことをじっと見てみるが、全員何故か顔色が悪く、やはり誰もこの沈黙を破ろうとしない。