ひとりぼっちの転生幼女でしたが、最愛の家族ができました~実は神子だった私、ハイスペ兄から溺愛されつつ癒しの才能発揮します!~

 記憶が戻ってから数日経ち、親がいなくて寂しいと泣く子どもたちに囲まれながら、やっぱり私はしみじみと思ってしまう。

 今世はすごく恵まれているのだ、と。

 前世では親戚中をたらい回しにされた後、ようやく施設に預けられて落ち着いたと思ったら早く独り立ちしろと急かされ、とにかく毎日が忙しなかった。
 生きることだけで精いっぱい、手いっぱいになっていた。

 転生しても孤児だったのは残念だけど、施設の先生たちは優しいし、神王様とやらのおかげで衣食住には困らない。今の私は幼女だから、どこかの養子になったとしても、独り立ちは早くて十年以上は先だろう。

 今はまだ、できることをやっていけば大丈夫……だと思いたい。

「三番は、外に出たらなにかしたいことはある?」

「のんびりしたい、です」

「の、のんびり? それはまた随分……」

 先生の言いたいことはわかる。年寄りくさいって言いたいんでしょ?
 でも前世の死因は、おそらく過労だと思うのよ。勉強も仕事も毎日パンパンに詰め込んでいたもの。転生した今ならわかる明らかなオーバーワーク、である。

「そうね。三番が望んでいるご縁があるよう、お祈りしておくわね」

「せんせぇ、ありがと」

 口が回らないのは幼女だからかな? 前の私も小さい頃はこんな感じだったっけ? そのあたりの記憶はほとんどないからなぁ。
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