一年だけの契約妻で、ほぼ放置されていたのに
そこで、やっと昨日看病のために鷹士さんの部屋に来ていたことを思い出した。ベッド横に座って、どんどん呼吸も正常になって健やかに眠り始めた鷹士さんの顔を見つめて安心して。やがてうつらうつらと睡魔で瞼が重くなっていった。そこで記憶が切れている。
「他人の部屋で寝るとか何やってんの?」
自分に突っ込みをせざるを得なくなる。そして、今私がいるベッドは鷹士さんが寝ていたところ。いつからかわからないけど、彼がここに上げてくれたのだろう。病人の寝床を奪い、深い睡眠に入れる自分の神経の図太さに驚き、呆れる。
と、とにかく、起きないと!
そう思ってベッドから出たら、ドアが開いて鷹士さんが入ってきた。黒のスリーピースとブルーのネクタイを締めて、髪はワックスで整えられている。
「おはようございます」
「あ、おはようございます……。私、すみません。ベッド」
「いいえ、よく寝ていたので」
「すみません」
小さく肩を窄ませて頭を下げる。
なんたる失態だ。涎垂らしてないかなと枕を目視する。シミはないようだ。ほっとしたのも束の間、私は慌てて鷹士さんへ視線を戻した。
「あのっ、熱は?」
「下がりました」
「本当に?」
「特殊能力で大体の体温はわかるのでは?」
「うっ」
昨日の嘘を真顔で言われると閉口する。強引過ぎるけど、あの時はこれくらいゴリ押ししないと素直に休んでくれないと思ったのだ。
「本当に下がりました。あなたのおかげです。ありがとうございました」
「いえ、私は何も」
逆にベッドを横取りして迷惑をかけた。
でも、熱が下がったのはよかった。顔色も顔つきもいつもの彼に戻っているから嘘ではないのだろう。
「仕事があるのでもう出ます。またお礼は後日」
「え、お礼……」
なんていらないと言い終わる前に鷹士さんは扉を閉めて行ってしまった。ぽつんと残された私が伸ばした手は宙を彷徨う。淡泊なのに、こういうところ強引なんだから。
「って、私も出勤の準備しよ!」
お風呂にも入らないといけないし。そう思って、寝起きの怠い身体を動かしてリビングに行く。
扉を潜ったら、鼻腔にいい香りが届いた。ダイニングテーブルにはワンプレートに目玉焼きとレタスとトマトのサラダが置いてあった。
「朝ごはん作ってくれてる」
病人なのに。また申し訳ない気持ちになると同時に久しぶりに誰かの作った朝食に少し心が躍った。
食パンをトースターで焼いて、その間にコーヒーを淹れる。鷹士さんがコーヒーが好きらしく、ここにはコーヒーメイカーがあり、私も自由に使っていいと言われていた。
「他人の部屋で寝るとか何やってんの?」
自分に突っ込みをせざるを得なくなる。そして、今私がいるベッドは鷹士さんが寝ていたところ。いつからかわからないけど、彼がここに上げてくれたのだろう。病人の寝床を奪い、深い睡眠に入れる自分の神経の図太さに驚き、呆れる。
と、とにかく、起きないと!
そう思ってベッドから出たら、ドアが開いて鷹士さんが入ってきた。黒のスリーピースとブルーのネクタイを締めて、髪はワックスで整えられている。
「おはようございます」
「あ、おはようございます……。私、すみません。ベッド」
「いいえ、よく寝ていたので」
「すみません」
小さく肩を窄ませて頭を下げる。
なんたる失態だ。涎垂らしてないかなと枕を目視する。シミはないようだ。ほっとしたのも束の間、私は慌てて鷹士さんへ視線を戻した。
「あのっ、熱は?」
「下がりました」
「本当に?」
「特殊能力で大体の体温はわかるのでは?」
「うっ」
昨日の嘘を真顔で言われると閉口する。強引過ぎるけど、あの時はこれくらいゴリ押ししないと素直に休んでくれないと思ったのだ。
「本当に下がりました。あなたのおかげです。ありがとうございました」
「いえ、私は何も」
逆にベッドを横取りして迷惑をかけた。
でも、熱が下がったのはよかった。顔色も顔つきもいつもの彼に戻っているから嘘ではないのだろう。
「仕事があるのでもう出ます。またお礼は後日」
「え、お礼……」
なんていらないと言い終わる前に鷹士さんは扉を閉めて行ってしまった。ぽつんと残された私が伸ばした手は宙を彷徨う。淡泊なのに、こういうところ強引なんだから。
「って、私も出勤の準備しよ!」
お風呂にも入らないといけないし。そう思って、寝起きの怠い身体を動かしてリビングに行く。
扉を潜ったら、鼻腔にいい香りが届いた。ダイニングテーブルにはワンプレートに目玉焼きとレタスとトマトのサラダが置いてあった。
「朝ごはん作ってくれてる」
病人なのに。また申し訳ない気持ちになると同時に久しぶりに誰かの作った朝食に少し心が躍った。
食パンをトースターで焼いて、その間にコーヒーを淹れる。鷹士さんがコーヒーが好きらしく、ここにはコーヒーメイカーがあり、私も自由に使っていいと言われていた。