一年だけの契約妻で、ほぼ放置されていたのに
言われていることは理解できる。まったくもって彼は親切に申し出てくれているだけだ。問題なのは私の部屋。あそこを見られるのは避けたい。
でも、自分の体温の高さを認知したからか、急に熱が上がってきたように足に力が入らない。支えられながら自分の部屋の前まで来る。ドアノブに手を掛けた鷹士さんを見て、「ああ」とつい嘆きの声が出た。
開かれた扉の向こうから私たちをマジマジと見つめる円な目。廊下からの差し込む光だけでも、棚にびっちり並んだぬいぐるみたちが見えて、案の定鷹士さんは足を踏み入れる前に固まってしまった。
「あ、私の趣味でして……ぬいぐるみ作るの」
「これ全部自作ですか?」
「……はい」
驚きを隠せない鷹士さんに私は頭を垂れるしかない。知られてしまった。私の趣味。明里ちゃんしか知らないのに。といっても、友達明里ちゃんしかいないけど。
仕事で疲れていてもファンシーなぬいぐるみたちがお出迎えしてくれる部屋が私の癒やしだったけれど、他人からしてみればイタい趣味だ。
「……恥ずかしい」
「なぜ?」
「いい年した女がひとりでぬいぐるみ作って飾ってるんですよ?」
「立派な才能だと思いますが」
何が問題なのかわからないと鷹士さんが首を傾げる。鷹士さんは偏見を持たないでいてくれるようだ。そこは救われた。
でも、夜な夜なひとり部屋に籠もってぬいを作ってることを、大っぴらに他人に言ったことがない手前この反応は逆に困る。黙る私に彼は形のいい眉を少し落とした。
「見られたくないならあまりここには入らないので。でも、飲み物とか必要なものは持ってきていいですか?」
「はい。というか、もう見られたから好きに入ってもらって大丈夫です」
「ありがとうございます」
私も彼の部屋に入ったのだし、バレたらもう恥ずかしがることもない!
開き直りができたら怖いものはもうない。しかも、熱があるから羞恥心もすぐに消え失せた。
学生の頃からずっと使っているシングルのパイプベッドに入って横になる。彼はベッドサイドに水やスポーツドリンクを運んできてくれた。
「ありがと……ございます」
「大丈夫ですか?」
「うん……大丈夫。おかあさん」
そう言ってはっとする。子供っぽい言い間違いに熱のある顔がさらに熱くなる。
「す、すみません。つい」
「いえ」
でも、自分の体温の高さを認知したからか、急に熱が上がってきたように足に力が入らない。支えられながら自分の部屋の前まで来る。ドアノブに手を掛けた鷹士さんを見て、「ああ」とつい嘆きの声が出た。
開かれた扉の向こうから私たちをマジマジと見つめる円な目。廊下からの差し込む光だけでも、棚にびっちり並んだぬいぐるみたちが見えて、案の定鷹士さんは足を踏み入れる前に固まってしまった。
「あ、私の趣味でして……ぬいぐるみ作るの」
「これ全部自作ですか?」
「……はい」
驚きを隠せない鷹士さんに私は頭を垂れるしかない。知られてしまった。私の趣味。明里ちゃんしか知らないのに。といっても、友達明里ちゃんしかいないけど。
仕事で疲れていてもファンシーなぬいぐるみたちがお出迎えしてくれる部屋が私の癒やしだったけれど、他人からしてみればイタい趣味だ。
「……恥ずかしい」
「なぜ?」
「いい年した女がひとりでぬいぐるみ作って飾ってるんですよ?」
「立派な才能だと思いますが」
何が問題なのかわからないと鷹士さんが首を傾げる。鷹士さんは偏見を持たないでいてくれるようだ。そこは救われた。
でも、夜な夜なひとり部屋に籠もってぬいを作ってることを、大っぴらに他人に言ったことがない手前この反応は逆に困る。黙る私に彼は形のいい眉を少し落とした。
「見られたくないならあまりここには入らないので。でも、飲み物とか必要なものは持ってきていいですか?」
「はい。というか、もう見られたから好きに入ってもらって大丈夫です」
「ありがとうございます」
私も彼の部屋に入ったのだし、バレたらもう恥ずかしがることもない!
開き直りができたら怖いものはもうない。しかも、熱があるから羞恥心もすぐに消え失せた。
学生の頃からずっと使っているシングルのパイプベッドに入って横になる。彼はベッドサイドに水やスポーツドリンクを運んできてくれた。
「ありがと……ございます」
「大丈夫ですか?」
「うん……大丈夫。おかあさん」
そう言ってはっとする。子供っぽい言い間違いに熱のある顔がさらに熱くなる。
「す、すみません。つい」
「いえ」