一年だけの契約妻で、ほぼ放置されていたのに
「どうして……記憶を取り戻して錯乱状態になったらどうするつもりだ?」
「それに関しては……私の考えが足りていませんでした。ごめんなさい」
「謝って済む問題じゃない」
「どんな罰でも受けます」
私が答えると、彼は閉口した。それくらいの覚悟をしてここに来ている。バレても逃げるなんて卑怯な真似はできない。依頼を受けた時点で覚悟はしていた。
静かに私を見つめる青い目。宝石みたいなそれも今は冬の海のように冷たく昏い。それでも、私も目を逸らさなかった。
長く沈黙が続くかと思われたが、一拍後彼のほうから口を開いた。
「……もう俺の家には関わらないでくれ」
「はい」
頷いた直後、彼がテーブルの上にある人形が入った紙袋へ手を伸ばす。私は反射的に手を出してそれを阻止していた。彼は私へと眉を寄せる。
「何する……」
「確かに私は勝手なことをしました。でも、これはお義母様のものです。お代もいただいています。あなたが破棄できる権利はありません」
「そんなもの……」
「お義母様のものです」
もう一度強く言う。声を荒げたわけではないけど、意図せず低く、有無を言わさない強さの音になった。
鷹士さんは瞠目して、伸ばした手を引いた。それを見届けてから私は改めて紙袋を美蘭さんのほうへと押し出す。
「美蘭さん。お渡しだけお願いします。その後は鷹士さんたちとよく話して決めてください」
「え……あ、つ、つぐみさんっ」
席を立って店を出ていく私の背に美蘭さんの声がかけられたけれど、振り返らなかった。彼がどんな顔で私を見ているのか確かめるのが怖くて、振り返れなかった。
「それに関しては……私の考えが足りていませんでした。ごめんなさい」
「謝って済む問題じゃない」
「どんな罰でも受けます」
私が答えると、彼は閉口した。それくらいの覚悟をしてここに来ている。バレても逃げるなんて卑怯な真似はできない。依頼を受けた時点で覚悟はしていた。
静かに私を見つめる青い目。宝石みたいなそれも今は冬の海のように冷たく昏い。それでも、私も目を逸らさなかった。
長く沈黙が続くかと思われたが、一拍後彼のほうから口を開いた。
「……もう俺の家には関わらないでくれ」
「はい」
頷いた直後、彼がテーブルの上にある人形が入った紙袋へ手を伸ばす。私は反射的に手を出してそれを阻止していた。彼は私へと眉を寄せる。
「何する……」
「確かに私は勝手なことをしました。でも、これはお義母様のものです。お代もいただいています。あなたが破棄できる権利はありません」
「そんなもの……」
「お義母様のものです」
もう一度強く言う。声を荒げたわけではないけど、意図せず低く、有無を言わさない強さの音になった。
鷹士さんは瞠目して、伸ばした手を引いた。それを見届けてから私は改めて紙袋を美蘭さんのほうへと押し出す。
「美蘭さん。お渡しだけお願いします。その後は鷹士さんたちとよく話して決めてください」
「え……あ、つ、つぐみさんっ」
席を立って店を出ていく私の背に美蘭さんの声がかけられたけれど、振り返らなかった。彼がどんな顔で私を見ているのか確かめるのが怖くて、振り返れなかった。