一年だけの契約妻で、ほぼ放置されていたのに
「……もうすぐ鷹士さん誕生日なんだよね。実はクリスマスイブ」
「そうなの?」
「その時にちゃんと答えようかな。プレゼントも用意して。何気に結婚記念日だし」
私の出した答えに明里ちゃんの表情がみるみるうちに明るくなっていく。そして、頭が千切れんばかりに頷いた。
「うんうん、いいと思う!王子にサプライズして感動させて泣かせよう!」
「いや、さすがに泣かないと思う」
あの人が泣く姿なんてまったく頭に浮かばない。それでも、喜んでもらいたいから、実は少し前に美蘭さんに彼の欲しそうなものをリサーチをしていた。
結婚一周年、つまりは契約満了の日なのだけど、もしかしたらまだ離婚は先になるかもしれないし、彼の誕生日はそれは関係なく祝いたかったのだ。だけど、あまり鷹士さんは物に執着がないらしく、美蘭さんも毎年贈り物には困っているらしい。
『あとね、お母さんが記憶なくしてからは誕生日はあんまり祝ってないみたい』
電話越しに聞こえた彼女の寂しい声音が頭の中で蘇る。
『お父さんは祝うけど、その席にはお母さんがいないから。中学からは寮に入ったし、祝うのもお父さん忙しいからいいって言って。お父さんは祝いたがってたけど、お兄ちゃんの心境も理解してるからさ。実は私がお兄ちゃんのこと知ったの高校に上がってからで』
『え、そうなの!?』
『うん。私はお母さんの記憶喪失後に生まれたし、小さい時にお兄ちゃんの存在を知ったらお母さんに言っちゃうかもでしょ?だから、お父さんとお兄ちゃんで話し合って決めたみたい。それでも、親戚のお兄ちゃんだと思って会ったりしてたから、いざ話を聞いても抵抗はなかったかな』
それを聞いてさらに気持ちが複雑になる。小さいとはいえ妹にも自分の存在を隠さないといけないなんて。考えただけでも胸が詰まりそうになった。
『だから、基本的に誕生日はひとりじゃないかな。たまに仕事関係のパーティーに参加するくらい。だから今年はつぐみさんがいるから、きっと寂しくないと思う。つまり、つぐみさんがいればプレゼントはいらない』
『え、それはないよ』
『いやいや、どうかわからんよ~?男は単純だからね~』
ニヤついているのがわかる声に何も言えなかった。彼と私はそんな関係ではないのに、頬を赤らめている自分が恥ずかしかった。それがまさか本当にそうなるなもしれないとは。
「つぐちゃんさ、あの斎賀さんが買った男の子のぬいぐるみ、最初どんな子にしようかデザイン悩んでたじゃん。あの時、私が言ったこと覚えてる?」
「それは……」
思い出して言葉を詰まらせる私に明里はニヤニヤと口の両端を上げた。
「『自分がタイプの男の子のぬいにしたらいいじゃん』って言ったの、覚えてるみたいだね」
「う……」
「そうなの?」
「その時にちゃんと答えようかな。プレゼントも用意して。何気に結婚記念日だし」
私の出した答えに明里ちゃんの表情がみるみるうちに明るくなっていく。そして、頭が千切れんばかりに頷いた。
「うんうん、いいと思う!王子にサプライズして感動させて泣かせよう!」
「いや、さすがに泣かないと思う」
あの人が泣く姿なんてまったく頭に浮かばない。それでも、喜んでもらいたいから、実は少し前に美蘭さんに彼の欲しそうなものをリサーチをしていた。
結婚一周年、つまりは契約満了の日なのだけど、もしかしたらまだ離婚は先になるかもしれないし、彼の誕生日はそれは関係なく祝いたかったのだ。だけど、あまり鷹士さんは物に執着がないらしく、美蘭さんも毎年贈り物には困っているらしい。
『あとね、お母さんが記憶なくしてからは誕生日はあんまり祝ってないみたい』
電話越しに聞こえた彼女の寂しい声音が頭の中で蘇る。
『お父さんは祝うけど、その席にはお母さんがいないから。中学からは寮に入ったし、祝うのもお父さん忙しいからいいって言って。お父さんは祝いたがってたけど、お兄ちゃんの心境も理解してるからさ。実は私がお兄ちゃんのこと知ったの高校に上がってからで』
『え、そうなの!?』
『うん。私はお母さんの記憶喪失後に生まれたし、小さい時にお兄ちゃんの存在を知ったらお母さんに言っちゃうかもでしょ?だから、お父さんとお兄ちゃんで話し合って決めたみたい。それでも、親戚のお兄ちゃんだと思って会ったりしてたから、いざ話を聞いても抵抗はなかったかな』
それを聞いてさらに気持ちが複雑になる。小さいとはいえ妹にも自分の存在を隠さないといけないなんて。考えただけでも胸が詰まりそうになった。
『だから、基本的に誕生日はひとりじゃないかな。たまに仕事関係のパーティーに参加するくらい。だから今年はつぐみさんがいるから、きっと寂しくないと思う。つまり、つぐみさんがいればプレゼントはいらない』
『え、それはないよ』
『いやいや、どうかわからんよ~?男は単純だからね~』
ニヤついているのがわかる声に何も言えなかった。彼と私はそんな関係ではないのに、頬を赤らめている自分が恥ずかしかった。それがまさか本当にそうなるなもしれないとは。
「つぐちゃんさ、あの斎賀さんが買った男の子のぬいぐるみ、最初どんな子にしようかデザイン悩んでたじゃん。あの時、私が言ったこと覚えてる?」
「それは……」
思い出して言葉を詰まらせる私に明里はニヤニヤと口の両端を上げた。
「『自分がタイプの男の子のぬいにしたらいいじゃん』って言ったの、覚えてるみたいだね」
「う……」