一年だけの契約妻で、ほぼ放置されていたのに
「ぷっ」
ふたりで見つめ合っていたところに、小さく吹き出す音がした。その方向を見たら、お義父さんが堪えきれない様子で笑い出す。
「あははっもういいでしょ?父さん。だから、鷹士は彼女にぞっこんなんだって〜」
「へ?」
思わず口から間抜けな音が出た。でも、さっきまでのシリアスがいきなりなくなり、腹を抱えて笑われたらこうなる。会長も口元が弧を描いている。何が何だかわからない。彼を見上げても呆然としていた。
埴輪顔の私たちにお義父さんは笑い切ると、目の端に滲んだ涙を拭った。
「あー、ごめんごめん。実は父がふたりを見ていてまどろっこしいから『鷹士の尻に火をつけないと黒字になったら別れるんじゃないのか』って心配しだしてね。元婚約者の里香ちゃんに頼んでまで演技させて。あ、ちなみに里香ちゃんはもうすぐ結婚らしいよ。だから婚約話は元々なし」
なんだ、それ。
ますます反応できなかった。というか、会長わざわざそのために今日私をここに呼び出した?
手の込んだ芝居までするキャラに見えないからこそ、すぐには信じられない。
「まぁ、可愛い孫を思っての行動だから許してあげて」
「俺のことを……疎んじていたんじゃ」
「頑固なだけで、別に鷹士のことを嫌っていないよ。そうじゃないと、一族経営とはいえ会社にも入れないでしょ」
「名前のことは?」
「約束は本当だよ。でも、三人で交わした」
「三人?」
「僕と菜々美と優太。つぐみちゃんのお父さんと」
そう言ってお義父さんは私ににこりと微笑んだ。
「君のお父さんは藤原家に仕える家政婦の息子だった。年が近いから小さい時から僕と菜々美の三人でよく遊んでいたんだ。三人で親友だった」
ふたりで見つめ合っていたところに、小さく吹き出す音がした。その方向を見たら、お義父さんが堪えきれない様子で笑い出す。
「あははっもういいでしょ?父さん。だから、鷹士は彼女にぞっこんなんだって〜」
「へ?」
思わず口から間抜けな音が出た。でも、さっきまでのシリアスがいきなりなくなり、腹を抱えて笑われたらこうなる。会長も口元が弧を描いている。何が何だかわからない。彼を見上げても呆然としていた。
埴輪顔の私たちにお義父さんは笑い切ると、目の端に滲んだ涙を拭った。
「あー、ごめんごめん。実は父がふたりを見ていてまどろっこしいから『鷹士の尻に火をつけないと黒字になったら別れるんじゃないのか』って心配しだしてね。元婚約者の里香ちゃんに頼んでまで演技させて。あ、ちなみに里香ちゃんはもうすぐ結婚らしいよ。だから婚約話は元々なし」
なんだ、それ。
ますます反応できなかった。というか、会長わざわざそのために今日私をここに呼び出した?
手の込んだ芝居までするキャラに見えないからこそ、すぐには信じられない。
「まぁ、可愛い孫を思っての行動だから許してあげて」
「俺のことを……疎んじていたんじゃ」
「頑固なだけで、別に鷹士のことを嫌っていないよ。そうじゃないと、一族経営とはいえ会社にも入れないでしょ」
「名前のことは?」
「約束は本当だよ。でも、三人で交わした」
「三人?」
「僕と菜々美と優太。つぐみちゃんのお父さんと」
そう言ってお義父さんは私ににこりと微笑んだ。
「君のお父さんは藤原家に仕える家政婦の息子だった。年が近いから小さい時から僕と菜々美の三人でよく遊んでいたんだ。三人で親友だった」