彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
『僕も知り合いがいるんですけど、誰ですか?』

『ミスター藤堂です』

『藤堂はあなたのような美人を集める才能に長けているね。何しろ、僕の美人のガールフレンドがイギリスで藤堂に一目ぼれしたんだ』

『え?』

 ひとりになった私の前に若い外国人の男性が来た。

『おひとりですか?僕もひとりなのでよろしければ隣いいですか?』

『あ、えっと……』

『ケビン。彼女は僕のパートナーだ。待たせたね、琴乃』

 いつの間にか玲さんが私の横に立っていた。

『玲さん。お知り合いなんですか?』

『そう。イギリスの芸能事務所の人だ。ケビン、久しぶり』

『ああ、天気そうだな玲。会えて嬉しいよ。じゃあ彼女も外務省か……綺麗だから女優かと思ったよ』

『彼女は外務省職員じゃない。僕の恋人だ。女優じゃないが、英語の先生なんだ』

『ヒュー、恋人?!驚いた、仕事に連れて来たのか?』

『ああ。ケビン、今日はひとり?』

『もちろん。ああ、美人を見つけたと思ったのに残念だ。じゃあ、また』

 彼は苦笑いしながらグラスを持っていなくなった。

「ケビンは相変わらずだな。あいつは美人とみるとすぐに声をかけて事務所に誘うんだ」

「そうなの?」
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