彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
 ふたりで今見てきたことを話しながら盛り上がった。

 趣味が合うせいか、話がとぎれず、せっかくだからと一緒にロンドンへ戻った。

 彼は英語がペラペラでここの地下鉄事情にも詳しい。

 私は来るときに地下鉄で乗り間違いをしそうになったので、彼がいてくれて何も考えずに戻れた。

「それで、蔵原さんはいつ日本へ戻るんだい?」

「えっと、明後日の夜の便です。イギリスまで来ると往復に日にちが取られて、ここにはあまりいられないですね」

「まあね。フライト時間が長いからしょうがない。僕も明日は用事があるんだ。あさってだったらイギリス観光につきあってもいいよ」

「本当ですか?あ、でも……明日次第なんですが……何もなければお願いしたいです」

「そうか、こちらに知り合いがいるんだったね。まあ、くれぐれも気をつけてね……二度あることは三度あるというだろう」

 彼がため息をつきながら言った。

「はい、特にこちらでは服装や髪型に気をつけます。今日はありがとうございました」

「じゃあね」

 彼と一緒に話をしながら列車でロンドンへ戻った。その後、彼はホテルへ送ってくれた。本当に助かった。

 * * *

 ホテルの部屋へ戻ると母から来ていた多くのメッセージに返事をした。

 一時間ごとに連絡してきていて、返事がないと言って心配ばかりしている。

 その都度返したかったがさすがに無理だった。返信したら、時差があるのに心配で起きていたのか、すぐに電話が来た。
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