彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
「まったく君は相変わらず隙だらけだな。二度あることは三度あると言っただろう?今日の君は本当に綺麗なんだから、気を付けないとだめだ。その艶のある長い黒髪と君の大きな黒い目は人目をひくんだよ」
「でも藤堂さんにこの間言われたから、今日は髪を結んでわざわざ下ろしてきたんです」
背が高い彼はかがんで私の耳元で囁いた。
「そのドレス……胸元が少し広いんじゃないか?」
私はびっくりして下を向いて手で隠した。はずかしい、座っていたからもしかして見えたのかしら?
実はショールがあったのだが、ついホテルに忘れてきてしまったのだ。私はこれでも前かがみにならないよう注意していたつもりだった。
胸元に大きなシフォンのリボンが柔らかく結んであるのを、生地を広げて胸元に差し込んだ。
「これでどうですか?」
彼は口元を抑えて横を向いていた。
「僕の目の前でやるなよ……君はそういうところが無防備なんだ」
「あ、ごめんなさい……」
「今日はこのあと何か用事がある?」
「いいえ、今のところは特にありません」
「じゃあ、とりあえずセレモニーが終わったら一緒にここを抜けないか?」
「え?」
「この国のパーティーは、主役がいなくなってもずうっと続くんだよ。酔いすぎて上に泊る人もいる。お祝いを言ったなら逃げるが勝ちだ」
彼はそう言うと私にウインクする。見てはいけないものを見たような気がして息をのんだ。
彼こそ自覚がなさすぎる。私でさえ、彼に目が行く。今だって、彼を遠巻きに見ている女性達の目が痛い。
彼女達から逃げたいのは彼自身なんだろう。私は口実かもしれない。
でもひとりで出るのは勇気がいる。彼と一緒に失礼しようと決めた。
「わかりました」
「よろしい。僕がしばらくの間ボディガードになってあげるから、何でも言うことを聞くようにね」
私がこくんとうなずいたら、彼は嬉しそうにほほ笑んだ。目を奪われるほどのまぶしい笑顔だった。
「でも藤堂さんにこの間言われたから、今日は髪を結んでわざわざ下ろしてきたんです」
背が高い彼はかがんで私の耳元で囁いた。
「そのドレス……胸元が少し広いんじゃないか?」
私はびっくりして下を向いて手で隠した。はずかしい、座っていたからもしかして見えたのかしら?
実はショールがあったのだが、ついホテルに忘れてきてしまったのだ。私はこれでも前かがみにならないよう注意していたつもりだった。
胸元に大きなシフォンのリボンが柔らかく結んであるのを、生地を広げて胸元に差し込んだ。
「これでどうですか?」
彼は口元を抑えて横を向いていた。
「僕の目の前でやるなよ……君はそういうところが無防備なんだ」
「あ、ごめんなさい……」
「今日はこのあと何か用事がある?」
「いいえ、今のところは特にありません」
「じゃあ、とりあえずセレモニーが終わったら一緒にここを抜けないか?」
「え?」
「この国のパーティーは、主役がいなくなってもずうっと続くんだよ。酔いすぎて上に泊る人もいる。お祝いを言ったなら逃げるが勝ちだ」
彼はそう言うと私にウインクする。見てはいけないものを見たような気がして息をのんだ。
彼こそ自覚がなさすぎる。私でさえ、彼に目が行く。今だって、彼を遠巻きに見ている女性達の目が痛い。
彼女達から逃げたいのは彼自身なんだろう。私は口実かもしれない。
でもひとりで出るのは勇気がいる。彼と一緒に失礼しようと決めた。
「わかりました」
「よろしい。僕がしばらくの間ボディガードになってあげるから、何でも言うことを聞くようにね」
私がこくんとうなずいたら、彼は嬉しそうにほほ笑んだ。目を奪われるほどのまぶしい笑顔だった。