彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
 すると、ガーデンにアナウンスが入って皆が座りだした。彼に手を取られて私も席についた。

 周りが私達を見ながら何か話している。さっきの芝居で勘違いされたのかもしれない。彼は相変わらず手を繋いだままだ。

 主役ふたりの紹介と挨拶、それに参列者の代表が挨拶をはじめた。シャンパンを掲げて皆でお祝いして、この後は無礼講になるとアナウンスがあった。

 食事を食べながら皆聞いている。ラフな感じのパーティーだ。私達も軽く食事をした。

「じゃあ、帰る前に主役二人へ挨拶してこよう」
 
 しかしハロルドさんと留美ちゃんは並んでいる招待客と個別に写真を撮っている。長い列ができていた。

「これは無理だな。とりあえず、ご両親に挨拶したほうがよさそうだ。おいで」

 彼に手を取られて、留美ちゃんのお父様の所へ行った。

「おお、藤堂君。今日は忙しいのにありがとう。あれ、琴乃ちゃん、藤堂君と知り合いだったのかい?」

 私達が手を繋いでいるのを見て、驚いている。私はパッと手を離した。彼が苦笑いして答えた。

「知り合いというほどじゃないんです。会うのは今日が三回目です。全部偶然なんですが、今日は驚きました。まさか留美さんの言っていた幼馴染が彼女だったとは……しかし彼女は会う度に男性から絡まれているんです」

「そんな誤解されるような言い方しないでください。こちらの男性に日本人女性は綺麗に見えるんじゃないですか?」

 彼は頭を指で押さえた。

「はあ、君は何を言ってるんだ。自覚がないにもほどがある」

「あはは、確かに……。琴乃ちゃんは本当に驚くほど綺麗になったね。ハロルドの友人達が留美と歩いてきた琴乃ちゃんを見て大騒ぎしていたんだ。琴乃ちゃん、この後は妻や僕と一緒にいれば大丈夫だよ」

 すると、藤堂さんがお父様に言った。

「いや、今日はお忙しいでしょうから彼女のことは僕が面倒をみましょう。男性客が酔っぱらう前に失礼させて頂こうかと思いましてね、主役は人気者なのでこちらへご挨拶に伺いました」

 藤堂さんが私に目くばせした。この目くばせも三回目だ。私はうなずいた。

「藤堂さんのお言葉に甘えて、一緒に失礼させて頂こうかと思います。留美ちゃんやハロルドさん、おばさんによろしくお伝えください」

 お父様はにこやかに頷いた。
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