彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
「すごくないよ。君の亡くなったお父さんは、蓮見商事勤務だったんだね」

「はい、そうなんです」

「そうか。僕は蓮見商事の若社長と知り合いでね。あのセクハラ上司のこともあの時伝えたんだ。あいつに今まで何かされてたんじゃないよな?」

 彼はすごい勢いで私に言った。

「ボディタッチが何回かあったくらいで、それ以上は拒んでいたから大丈夫です」

「何だと?!琴乃の敵を今からでもとってやる。訴えてやろうか?」

「やめて、大丈夫。それより、玲さんこそモテるでしょう?留美ちゃんのパーティーのときも女性客が皆玲さんを見ていたわ」

「琴乃が考えるようなものじゃないよ。仕事がらみの人も多いからね。それに僕はもう結婚を意識する相手がいるから、誰も目に入らない」

「え?!そんな人いたんですか?」

「え、じゃない。何驚いているんだ?君だぞ琴乃。嫌だとか言わないよな?」

「そんな、結婚なんて早すぎます。まだこんなふうになったばっかりですから……どうなるかわからないでしょう」

「僕は君となら結婚も意識する。琴乃がいい」

「玲さんったら……」

「琴乃は僕について知りたいことがあるの?」

「玲さんは数年後日本に戻ったとしても、ずっと日本にはいられないんですよね?いずれまた海外勤務ですか?」

「そうだな。いずれまた外へ出ると思う。その時は君と赴任したい」

 やっぱりそうなんだ。私は母のことを考えると結婚は絶対無理だと思った。

「どうした?」

 私の顔を覗きこんでいる。

「無理です……」

「何が無理?それと無防備な君を守るため、僕は君にはもう決まった相手がいるんだとわかるようにして日本へ帰す」

「え?」
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