彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
 昼休みに同期の佳純と社食で会った。

「琴乃ー、お帰り。楽しかった?」

「うん、楽しかったよ」

 お土産を渡すと喜んでくれた。A定食の生姜焼きを食べはじめた。

「あー、生姜焼きが美味しい。日本の料理はやっぱり美味しいね」

「イギリスの料理はあんまりおいしくないって言うよね?そうだったの?」

「そうだね、種類が少ないかな。でもハロッズでアフタヌーンティーしてきたけど、最高だったよ」

「そうなんだ、いいなー」

 写真を見ながら説明をした。すると、佳純がつぶやいた。

「ねえ、なんか琴乃変わったような気がする」

「え?」

 佳純は私の顔をじいっと見ながら言う。

「うん、なんかさ、明るくなったっていうか、雰囲気が違う。琴乃は元々綺麗だけど透明感が出てる。もしかして旅行先で何かあったの?」

 びっくりした。

「佳純って占い師か何かなの?」

「何言ってんのよ、あー、やっぱり何かあったのね。あ、何赤くなってんのよ。もう、わかりやすいんだから。結婚パーティーに行ったんだよね?いい出会いがあったとか?」

 驚きすぎて声も出ない。

「図星だな!よくあるじゃない、同窓会、結婚式二次会とかって、恋の始まりだよ。予想しただけなのに、当たるとはこの佳純様も捨てたもんじゃないわね」

「佳純、怖いよ……出会ったのはパーティーじゃなかったんだけど、正確には初日のウインブルドンへ行ったときに再会したの」

「へ?再会?ウインブルドン?」
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