彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
「あ、その、お母さんに玲さんとのことはまだ言っていないから……。弦也には言ったけど……」

「弟さんか。会うのが楽しみだ。男兄弟欲しかったんだ」

 まだ結婚するわけじゃないのに……。

「琴乃。お母さんのことだけど、きちんとおつき合いしていると挨拶しようか?一度お目にかかっているから気づいているとは思うけど、本気だと分かれば違うと思うんだ」

 私は勢いよく首を振った。

「ううん。ごめんなさい。あんまり刺激したくないの。玲さんが日本へ戻ってからでいいわ」

「琴乃。何かあれば言ってほしい」

「ありがとう、玲さん」

「琴乃。両親が君に会いたがっているんだ。少しだけ画面越しに顔を見せてやってくれないか」

「えー!」
 
 彼は自宅へ電話して、お父様と携帯で連絡を取った。

 すると、いつの間にかビデオ通話にしたんだろう、彼に似たお母様と、優しい瞳のお父様が現れた。

 強引すぎる。びっくりしてしまった。

『父さん、母さん。彼女が琴乃だよ』

『あ、え?は、初めまして、蔵原琴乃です』

『ああ、デートの邪魔をして申し訳ないね。はじめまして、玲の父です』

『こんばんは。玲の母です。あら、可愛らしいお嬢さんね。玲は相変わらず面食いなのね』

 私はその答えを求めて彼の顔を見た。彼は焦っていた。

 女優さんが元カノだもの、お母さんの言いたいことはわかるが、私は対象外だ。お世辞にしてはちょっとつらい。

『母さん、余計なこと言わないで』

『あら、ごめんなさい』

 お父様が話し出した。
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