彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
『蔵原さん、お会いできて嬉しいです。里香はこうやってお話したと自慢していてね。私達も会わせてほしいと玲に頼んだんだ。急に悪かったね』

『いいえ』

 そういうことだったのか……。

 里香さんの自慢して騒いだ姿が目に浮かんだ。

『じゃあ、もういいだろ。切るよ』

『ああ、それじゃ蔵原さん。今度はうちのほうにもいらしてください』

『ええ、ぜひいらしてね』

『ありがとうございます』

 優しそうなご両親。

 玲さんがこういう風に穏やかなのは素敵なご家族だからなんだとよくわかった。

 ご家族に交際相手をすぐに紹介できるような関係。うちとは大違いだ。

「ごめん、驚いた?母が里香だけずるい、私もどうしても会いたいってうるさくってさ。あいつが騒ぐからなんだ」

「ううん、とても仲の良い家族なのね。優しそうなお父さんね」

「ああ、父は教授だから穏やかだよ。母はあの調子。里香のおしゃべりは母に似たんだ。二人でいるとうるさいのなんのってもう……」

「ふふふ、きっと賑やかなんでしょうね」

「今度はぜひうちに来て。歓迎するよ」

「ありがとう」

「さてと、名残惜しいけどしょうがない。家まで送って行くよ」

「はい」

 彼は私を抱き寄せ、歩き出した。

 彼と電車で私の最寄り駅まで移動した。

 そして駅から歩いて15分。

 彼は私の手を繋いだまま歩いている。
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