彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
「家の近くで誰かに見られたら、あの角を曲がったら手を離してください」

「だめ」

「どうして?お願い」

「見られて結構。僕と手を繋いでいれば、君の周りを牽制できる。この間来た時も驚いたけど、遅くなるとこの辺は本当に真っ暗だ。」

「大丈夫よ。今まで何もなかったわ。玲さん、心配しすぎよ」

「琴乃。君は結構天然で実は呑気なんだよ。気づいてないだけだ」

「失礼ね、そんなことないもの……」

 玄関に明かりがついていた。

 すると、後ろから走ってくる音がした。振り向くとそこには弦也がいた。

「姉さん、あ、彼氏だ。ラッキーちょうど会えた」

「弦也。走ってきたの?」

「もちろん。トレーニングになるからね」

 玲さんと弦也が向かい合った。

「玲さん、弟の弦也です」

「ああ、はじめまして」

「おー、すごい、俺より背が高いんですね。はじめまして。姉がお世話になってます」

「藤堂玲です。よろしく。弦也君は確かバスケやってるんだよね。君はまだまだ背が伸びそうだね」

「藤堂さんだって絶対何かやってたんですよね?何やってたんですか?」

「僕は中学がテニス部、高校はバスケ部だったんだ」

「へえ?あ、そうか姉さんイギリスのテニス場で会ったと言ってたもんな」
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