彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
 弦也が携帯でニュースを見せて、これが藤堂さんらしいと話した。

 おばさんは驚いて、お母さんの発作の原因はこれだったのねと納得した。

「それで、これ本当なの?」

「いえ、違うと思います」

「違うって、姉ちゃん、藤堂さんに確認した?大体、連絡きたのかよ?」

「ううん、来てない。あっちは夜中だし、寝てるのかも……」

「はあ?普通、こういう記事って掲載前に連絡が行くよな?知らないわけないじゃん」

「……」

 そうだとしたら、前もって知っていたのに何も教えてくれなかったの?どうして?

「あの人ひどいな。母さんが切れるのもあたりまえだよ。俺だって記事見て切れそうになったもん」

「待って、決めつけないで!そんなはずない……玲さんはそんな人じゃないもの……」

「琴乃ちゃんは男性とお付き合いするの初めてでしょう?しかも、こんな外交官なんてすごい人、この人元々この女優さんとつき合っていたって書いてあるけど本当なの?だとしたら琴乃ちゃんとつきあうなんて、ちょっと不思議よね」

 おばさんの言うことは確かに理解できる。私と彼とでは違いすぎることぐらいわかっている。原口さんと彼の方が釣り合っている。

「そうなんだよ。姉ちゃん初心だから騙されたのかもしれないよな。旅先で出会って意気投合して……」

「やめて!」

 ふたりは黙った。

「ごめんなさい。確かにお母さんのことは私のせいよ……でも玲さんからは必ず連絡が来ると思うし、私もきちんと確認するから……」

 医師から病状の説明があった。

 発作の原因を聞かれて、弦也がそれとなく答えたら、私との接触で興奮したり、ニュースを見ることでさらに症状が悪化する可能性もあると言われた。

 家にいると私と口論になったり、興奮したりする可能性が高いので、しばらく入院させませんかと提案された。
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