彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
その後、お母さんの入院の手続きで忙しくなった。そのうち彼から連絡が来るだろうと思って待っていた。
ところが、丸一日たっても彼から連絡がなかった。
弦也の言葉が聞こえてきた。こちらにいるご家族を含め、彼の周囲で騒ぎになっているはずだ。いくらあちらにいるとしても、私の耳に入ることくらいわかっていたはずだ。
彼よりも先に原口日奈さんからメールがあった。どこかで一度お会いできませんかという内容だった。
* * *
「わざわざ来てもらってごめんなさい」
ドラマの撮影でとても忙しく、記事が出ているのであまり外に出られないというので、撮影現場の近くで会った。
マネージャーがテイクアウトのコーヒーとケーキを運んできた。
彼女は入ってくるなり、丁寧に立ち上がって私に頭を下げた。とても驚いた。
日奈さんは落ち着いた雰囲気のある美人だった。芸能人らしいオーラはもちろんあるのだが、居丈高なところはなかった。
元カノだったというのは、本当なんだろうとその時思った。彼が惹かれる素質のある人だと思ったのだ。
「里香さんに連絡先を教えてほしいとお願いしたのだけど、蔵原さんに確認して了承してもらったと聞いて嬉しかった。どうもありがとう」
「……いいえ」
彼女はじっと私を見ている。
「ごめんなさい。あなたとお付き合いしているというのは二年半くらい前から聞いていました」
「そう、ですか……」
「玲から連絡はありました?」
「いいえ……」
記事が出て二日。彼から連絡がない。彼女に呼び出されて、私は覚悟してきた。
「記事のことですけど、あくまで私の言葉を記者が曲解して書いたものです」
「じゃあ、事実じゃないんですよね」
ところが、丸一日たっても彼から連絡がなかった。
弦也の言葉が聞こえてきた。こちらにいるご家族を含め、彼の周囲で騒ぎになっているはずだ。いくらあちらにいるとしても、私の耳に入ることくらいわかっていたはずだ。
彼よりも先に原口日奈さんからメールがあった。どこかで一度お会いできませんかという内容だった。
* * *
「わざわざ来てもらってごめんなさい」
ドラマの撮影でとても忙しく、記事が出ているのであまり外に出られないというので、撮影現場の近くで会った。
マネージャーがテイクアウトのコーヒーとケーキを運んできた。
彼女は入ってくるなり、丁寧に立ち上がって私に頭を下げた。とても驚いた。
日奈さんは落ち着いた雰囲気のある美人だった。芸能人らしいオーラはもちろんあるのだが、居丈高なところはなかった。
元カノだったというのは、本当なんだろうとその時思った。彼が惹かれる素質のある人だと思ったのだ。
「里香さんに連絡先を教えてほしいとお願いしたのだけど、蔵原さんに確認して了承してもらったと聞いて嬉しかった。どうもありがとう」
「……いいえ」
彼女はじっと私を見ている。
「ごめんなさい。あなたとお付き合いしているというのは二年半くらい前から聞いていました」
「そう、ですか……」
「玲から連絡はありました?」
「いいえ……」
記事が出て二日。彼から連絡がない。彼女に呼び出されて、私は覚悟してきた。
「記事のことですけど、あくまで私の言葉を記者が曲解して書いたものです」
「じゃあ、事実じゃないんですよね」