彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
 * * *

 イギリスのウインブルドンはその日とても暑かった。

 ロンドンの結婚披露パーティーは明日だ。

 5日間しか休みがないので、移動に丸二日近くとられることを考えると、先にこちらへ来るしかなかった。

 ずっと来てみたかったからだ。

 ここは、テニスの四大大会で有名だ。特にテニスの聖地と言われるような場所。

 白一色のウエアを着用し、緑の芝生の上でテニスをする姿はここでしか見られない。

 私は中学から部活動でテニスを始めて、高校でもやっていたのでここは憧れの場所だ。

 さすがにツアーを見に来るのは無理なので、今日はその聖地だけを満喫する。

 これからウインブルドン・ローン・テニス博物館のツアーに参加する。

 帽子をかぶっていたのだが、室内に入るので取った。それで長い黒髪をまとめてアップにした。首筋が出るだけで涼しく感じる。 

 結構大勢の観光客が一度に参加する。

 有名選手のエピソードやたくさんの写真、テニスグッズが展示してある。説明してくださる方の話も裏話が多くてとても面白い。

 ただ、英語なのでいまいちわからないところも多くて、リスニングの難しさを痛感した。

 現在活躍中の有名選手のパネル写真と記念撮影できるような場所があった。

 大ファンの選手だったので帰り際に順番を待って自撮りしようとしたら、次のところで待っていた金髪の若い外人男性に声をかけられた。

『撮ってあげるよ』
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