片想い歴20年 エリート警視は同級生に激愛を注ぎ込む
 彼は瞳の奥底に、変質者に対する憎しみの炎を静かに燃え滾らせた。
 圭信に好かれている私だって、その覇気迫る表情に怯んだのだから。
 ストーカーらしき男性が尻尾を巻いて逃げるのも当然だった。

「落ち着いて……。圭信のおかげで、変質者はどっか行っちゃったし……」
「愛する人に危機が迫っているのに、冷静でいられる婚約者などいない」

 どうにか怒りを鎮められないかと試みたが、私には荷が重かったようだ。
 変質者を庇っていると思われてさらに激昂させてしまう危険性があると悟り、自身の非を全面的に認めた。

「えっと、ごめんね……?」
「いや。愛奈は悪くない。僕を真っ先に頼ってくれて、嬉しかった」

 彼は優しい微笑みを浮かべると椅子に座っていた私を引っ張り上げ、退室を促した。

「帰るぞ」
「あ、うん……」

 こちらが戸惑っている間にトレイとゴミを片してくれるなんて、なんて出来た婚約者なのだろう。
 さすが圭信。頼りになるなぁ……。
 私は心の中で彼を愛する気持ちを高めながら腕と指先を絡め合い、ファストフード店をあとにした。
< 121 / 225 >

この作品をシェア

pagetop