片想い歴20年 エリート警視は同級生に激愛を注ぎ込む
 彼は視線だけでもこちらを射殺せそうなおっかない顔で凝視してきた長年想い続けた相手とようやく結婚できたのに、こんな些細な言い争い如きで離婚などするわけがない。
 そんなふうに言いたいんだろうなと悟った私は、のらりくらりと彼の主張を受け流す。

「君は昔から、脇が甘すぎる」
「それが私じゃん?」
「危なっかしくて、見てられん……」
「大袈裟だって。下着姿で彷徨いているわけじゃないんだしさ?」
「公然わいせつ罪で、捕まりたいのか」
「それ、学生時代も言ってたよね?」

 あの時はスカートの裾を折りすぎて、階段を昇り降りする時に下着が見えるから破廉恥だと怒っていた。
 そんな懐かしい光景を思い出せば、圭信は苦しそうに胸の内を吐露する。

「あの時だって、気が気じゃなかった……」
「どんな風に?」
「いやらしい視線を向けていた奴らが、いたからな……」
「えー。でもさ? 一番そういうことを考えてるのは圭信じゃん」
「それは、関係ない」
「そん時から、私のことが好きだったんでしょ?」

 彼の本心を聞いてるからこそ、まったくと言っていいほどに説得力がなかった。
 派手な格好を黙認して、見知らぬ男に好きな子を取られてしまうなど冗談ではない。
 そんな嫉妬心を怒りに変換した彼は、文句を言うことでしか愛を伝えられなかったのだろう。
< 149 / 225 >

この作品をシェア

pagetop