片想い歴20年 エリート警視は同級生に激愛を注ぎ込む
 そんな表情をしなくたっていいのだと伝えるように、夫へ優しく微笑みかけた。

「圭信はさ。私に対する愛情を、ずっと押さえつけていたでしょ?」
「……ああ」
「お酒の力を借りなくても、曝け出せるようになったけど……」
「外では欲望のままに行動しないよう、自分を律している」
「でもさ。我慢した結果、よくない思考になったわけじゃん」
「……誘っているように、聞こえるんだが」

 圭信がほしいのは、我慢しなくていいよって言葉だよね。
 でも、そう伝えるつもりはないんだ。
 これから私は、彼を傷つけるかもしれない言葉を口にする。

「逆だよ。私は圭信を、突き放そうとしてる」

 夫婦になったんだから。
 ちゃんと、伝えなきゃ駄目だと思うから。
 私は夫と向き合うと決め、彼が嫌がる言葉を淡々と述べた。

「私は圭信が一番つらい時、そばにはいられなかった。これからも、そうだと思う」
「僕は、君と言葉を交わし合うだけで幸せだ」
「でもさ……」
「身を引きたいと、宣言しているように聞こえるが」
「違うよ。圭信のことは好きだけど……。仕事中は、携帯を見れる環境にないし……」
「仕事熱心な愛奈も、大変好ましい」
「そうじゃなくて。申し訳ないじゃん……」
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