片想い歴20年 エリート警視は同級生に激愛を注ぎ込む
「豊臣さん。最近、着ている服が変わりましたね」

 退勤間際のロッカールームで、後輩から話しかけられた。
 私は苦笑いを浮かべて、それに相槌を打つ。

「うん。変質者に狙われるのは、服装のせいかもしれないと思って……」
「ようやく気づいたんですか?」

 すると、満面の笑みを浮かべた美久ちゃんがこちらに向かって、小馬鹿にしたような言葉を言い放つ。
 この場にいる誰もが人懐っこいはずの彼女が見せた豹変っぷりに目を丸くする中、当の本人はその視線を諸共せずに再び口を開いた。

「この間、同棲中の彼氏が着古したシャツを身に纏って通勤していた時も、なんて非常識なんだろうって思ってましたけど……。やっぱり、男性と交際するようになると、全てが変わってしまうんですね! 幸せオーラいっぱいで、羨ましいです!」

 貶されているんだか褒められているんだかよくわからない話をされた直後、その会話の内容に違和感を感じて首を傾げる。

 ――私、彼氏が出来たとは言ったけど……。
 同棲や結婚の報告なんて、職場にはしてないんだけどな?
 夫と後輩に接点はないはずだが、どうやってその事実を知ったのだろう?

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