片想い歴20年 エリート警視は同級生に激愛を注ぎ込む
「豊臣さん? なんだか、顔色が悪いみたいだけれど……。大丈夫?」
「え? ああ、すいません。お先に失礼します」
「豊臣先輩、気をつけてくださいね。服装が過激だから、狙われていたわけじゃないと思うので」
「し、心配ありがとう……」

 私は引き攣った笑みを浮かべて、足早にロッカールームをあとにする。

 ――これって、何かのフラグとかじゃないよね?
 また変質者に追いかけて来られたら、どうしよう……?
 イルデンを出た私は背後に警戒しながら満員電車に乗り込み、圭信宛にメッセージを送信する。

『今から帰るね。圭信、家にいるかな?』

 数秒も立たずに既読印がつき、用件だけを述べた文字を受信する。

『駅に着くのは、何時だ』

 画面に表示された言葉が、愛する夫の声で再生される。先程まで不安でいっぱいだった私はにんまりと口元を綻ばせ、素早くディスプレイをタッチした。

『20分後』
『駅で待ってる』

 了解の意味を込めた絵文字を送信し、電車に揺られながら最寄り駅までの道のりを何事もなく過ごす。

 ――圭信が一緒なら……。この間みたいに恐ろしい経験はしなくて済むよね……? 

『ご乗車、ありがとうございました……』

 私は電車を降りると、階段を駆け下りて改札を出る。
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