片想い歴20年 エリート警視は同級生に激愛を注ぎ込む
 ――愛する夫の姿は、すぐに見つかった。
 柱を背にして胸の前で両腕を組み、無表情を貫く彼は、やはり遠目から見ても目を引くものがある。

「圭信!」

 喜びを全身で言い表すように声を大にして叫べば、妻を見捉えた夫は口元を綻ばせて私を出迎えてくれた。

「お帰り」
「ただいまー! 迎えに来てくれて、ありがとう!」
「どういたしまして。このあとの予定だが……。買い物に、行かないか」
「私はいいけど……」

 キョロキョロとあたりを見渡し、不審な人物がいないかを確認する。
 今の所は見当たらないけれど、いつ湧いて出てくるかわかったものではない。呑気に買い物をしても大丈夫なのかと不安に思っていれば、圭信は私を抱き寄せて訝しげな視線を向けた。

「何か、不安なことでもあるのか」
「あのね。今日、職場で……。不思議なことがあったんだ」

 彼に問われ、ロッカールー厶での会話を要約して伝える。夫の表情がどんどんと曇るあたり、私の第一印象は間違っていなかったらしい。

「その女から恨まれるようなことをした覚えは?」
「ないよ! 圭信と付き合うようになってから、急にチクチク嫌味なんだか褒めてるんだかよくわからない話をされたくらいで……」
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