片想い歴20年 エリート警視は同級生に激愛を注ぎ込む
「もう! 店員さん、すごく不審がってたよ?」
「すまない。真剣に悩みすぎて、周りを気遣う余裕がなかった」
「気をつけてね?」
「ああ……」

 圭信はほんとにわかってるのか怪しい魂の抜けた表情をしながら、フラフラとキッチンで手を洗う。
 その後電子レンジで買ってきたお弁当を温める。

 ――なんか、様子がおかしいんだけど……。どうしたんだろ?
 私から怒られる機会なんて滅多にないせいで、ショックを受けているのだろうか?
 不安になった私は、彼に問いかけた。

「ねぇ、圭信。大丈夫?」
「問題ない」
「ほんと? なんか、魂が抜けているけど……」
「僕は今、煩悩と戦っている」
「何それ」
「買ってきた下着を、身につけている姿が見たい」
「あー、ね……」

 夫の葛藤を耳にした私は、心ここにあらずな様子を見せてもおかしくないと納得する。
 しかし、現在最優先するべきは互いの身体を貪り食うことではなく、空腹を満たすことだ。

「ご飯を一緒に食べるだけで、我慢してよ」
「膝の上に、乗ってくれるか」
「いいけど……」

 ――いつもやっていることなんだから、わざわざ許可を取るようなことではないのにね。
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