片想い歴20年 エリート警視は同級生に激愛を注ぎ込む
 大声で言い争いを続けていると、異変を感じた人々が円を描くようにその場へ留まってしまった。

 ――こんな状態でナイフを振り回されでもしたら、大変なことになる……! 
 偶然この場に居合わせたゲスト達に何かあっては困ると、私は声を大にして叫ぶ。

「これはショーではありません! 今すぐにここから離れてください!」

 だが――。
 こちらが必死に呼びかける声すらもエンターテイメントの一部として昇華したい来場者客は、スマホのカメラを片手に撮影を始めてしまった。

「俺達がなんのためにイルデンの従業員を狙い、ここで騒ぎを起こしていると思っている?」
「皆さん! ゆっくりと落ち着いて、離れ……」
「ここが非日常を売りにしているテーマパークで、何が起きても演出の一部として誤魔化せるからに決まっているだろう?」

 私の誘導を聞き入れてくれるゲストは、誰1人現れず――ついに、ナイフを手にした男性が他者に牙を向く。

「やめて……!」

 最前列の子どもを抱きかかえた女性を傷つけようと、ナイフを振りかぶったのだ。
 私は慌てて彼女を庇い、両手を広げる。
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