片想い歴20年 エリート警視は同級生に激愛を注ぎ込む
 その結果、長い髪の毛先が切り裂かれ――アスファルトの上に、それらが散らばった。

「関係ない人達を、傷つけないで!」
「正義感が強いところも、父親にそっくりだな……」
「きゃあ……!」

 さすがにクルーが髪の毛を切り裂かれたともなれば、ここに集まったゲストも異変を悟ったのだろう。

「逃げろ! 早く!」

 パニックを起こした彼らは一斉に、蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。

「逃げなくて、いいのかい?」
「私はここでクルーとして働いている以上、皆の安全を守る義務があるの! どんな酷い目に遭ったとしても、負けない……!」
「そうか……。やっぱり、君はあの男の娘だな」
「あなたはどうして私に、お父さんの話をするの!?」
「君はまだ、知る必要はない」

 私は不審者と雑談をしながら、つねに腰元へ携帯している無線を手に取った。
 あとは口元にそれを近づけ、本部へ通信を取ればいいだけ――。

「豊臣さん!」

 そんな時、ヴァンパイアの館の建物内でプレショーの管理を行っていた同僚に名前を呼ばれた。
 彼女は遠くから、私を手招いている。

 ――どうにかして、あの中に避難したいけど……。
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