片想い歴20年 エリート警視は同級生に激愛を注ぎ込む
  ――困ったなぁ。仕事が休みになったわけじゃないし……。
 圭信だって、捜査の一環でここに来ただけだ。
 いつまで経っても、ここでこうしているわけにはいかなかった。

「ごめんね」
「いや……。謝らないでくれ。愛奈はただの、被害者だ」
「うん」
「彼らが捕まったから、絶対に安全と言うわけではない」
「そうだね。生きている限り私達は、危険と隣り合わせなんだよね」
「愛奈……」
「大丈夫だよ」

 24時間365日一緒にいたいと語っていた彼を遠ざけるには勇気がいる。
 しかし、ここで圭信の望むがままに依存させたら、絶対駄目だ。
 そう思うからこそ、心を鬼にして突き放す。

「今日はありがとう」
「……俺は何もしていない」
「かっこよかったよ」
「……ああ」

 頬が赤いのはきっと、気のせいじゃないよね?
 私は満面の笑みを浮かべ、夫の顔色を窺った。
 心ここにあらずな様子で頷いたあと、彼は長い間無言だったが……。
 やがて、ひとしきりこちらのぬくもりを堪能すると、ようやく正気に戻ったらしい。
 身体を離してから曲がった眼鏡を直し、帰り支度を始めた。
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