片想い歴20年 エリート警視は同級生に激愛を注ぎ込む
「そっかー。そう、だよね。お父さんが、誰かを見殺しになんてするはずがないもん。誤解が解けて、本当によかったー」

 イルデンで一緒に働いている限り、美久ちゃんは人畜無害のかわいらしい後輩だった。私が見た彼女の姿は、こちらの警戒心を失わせるために見せていた演技であったとしても……。
 いつかあの子がなんの憂いもなく、心穏やかに暮らせる日が来るのを信じている。
 そう思いながら、ほっと胸を撫で下ろした。

「愛奈は、他人のことばかりだな。もっと自分にも、気を配ってくれ」
「えー? だって、仕事中だし。クルーとして、みんなを護らなきゃいけなかったわけで……」
「僕たちの到着が遅れていたら、どうするつもりだったんだ……!」
「でもさぁ。圭信はちゃんと、来てくれたじゃん」

 私はなんてことのないように口にすると、お礼を伝えた。

「ありがとう。助けに来てくれて」

 彼が胸元から顔を上げたのをいいことに、額にかかった前髪をサラリと撫でつける。
 その後、唇が触れ合いそうな距離まで顔を近づける。

「め、愛奈……」

 戸惑う夫は、やがて覚悟を決めたのだろう。
 その瞳に熱を灯し、愛を囁く。
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